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経費で落とせるもの一覧まとめ 個人事業主が迷う経費にできるもの、できないものを税理士が解説

 
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税理士のうばとしこです。
税理士としてはまだまだ若手です。
お笑い大好き、やんちゃでマイウェイをゆく息子と男勝りで世話好きな娘がいます。子煩悩な夫と4人家族です。 学生時代から大好きだった街、吉祥寺に事務所を構えています。
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個人事業主が、仕事上支払った経費。

忘れず計上することにより、納付する税金を減らせます。

でも、どのような支出でも経費にできるわけではありません。

「経費として認められる支出」と「経費として計上できない支出」があるのです。

だからこそ個人事業主は「どこまで経費にしていいの?」と迷ってしまうのではないでしょうか。

この記事では、経費のよくある4つの疑問について税理士が分かりやすく解説します。

  • 個人事業主の経費とは
  • 事業の費用はどこまで経費として認められるもの
  • 個人事業主の経費として認められないもの
  • 事業の経費を計上するときに注意したいこと

個人事業主の経費(事業に必要な費用)

経費とは、個人事業主が事業(仕事)に対して支払った必要な費用のことです。

仕事のために必要だった費用は「経費」として収入から引くことができます。

たとえば、個人事業主が仕事のためにペンを買ったとします。

ペンは100円でした。

このペンは仕事に使うために購入し、実際に使いました。

仕事のための支出ですからペン代は経費です。

事業の収入が500万円だとすれば、そこからペン代を経費で落とせます。といった具合です。

「落とす」とは差し引けるという意味です。

個人事業主が事業の経費をもらさずに計上することで、税金上のメリットが!

個人事業主が経費をもらさず計上することで「節税」にもつながるので、メリットがあります。

個人事業主の場合「収入(売上)-経費」で算出した所得に対して、課税されます。

個人事業主の1年間の売上が500万円だったとします。

文具や交通費など事業にまつわる支出が100万円ありました。

この100万円は内訳も明確で、領収書なども保管してあります。

そして、すべて事業に関する支出です。

収入500万円から経費100万円を引くと所得(もうけ)が400万円になります。

税金がかかるのはこの400万円。

といった具合に・・・!

では、収入500万円で経費が100万円、所得が400万円の場合と、

経費が300万円で所得が200万円だったケースと所得税の額を比較してみましょう!

400万円(収入500万円で経費100万円)の所得税 / 青色申告では約19万円、白色申告では約28万円
200万円(収入500万円で経費300万円)の所得税 / 青色申告では約4万円、白色申告では約8万円
※給与なし、基礎控除のみ利用しています。
※青色申告と白色申告は確定申告の方式の違い です。

所得税という税金だけで簡単に比較しても、経費を多く引いた収入500万円経費300万円のケースは税額がより小さい、つまり節税できていることが分かるはずです。

このように、収入から経費を引けば引くほど所得税などの税金の金額は小さくなるのです。

個人事業主が経費で落とせるものは経営にまつわる費用

個人事業主の収入から経費を引けば、税額が小さくなる、

すると、節税できるなら、個人事業主はどのような費用も収入から引いてしまおうと考えるかもしれません。

でも、それでは不公平ですよね。

だからこそ、経費にはルールがあります。

個人事業主の支出すべてが経費として認められるわけではないのです。

経費として落とせるのは「経営(事業)にまつわる費用」だけです。

たとえば仕事に使ったペンの購入費用は経費になります。

ですが、仕事と関係のない趣味で購入したペン代は経費にならないということです。

仕事に関係あるかどうかが落とせる経費の境界線になります。

つまり、個人事業主の経営(事業)に関係のある費用は経費として落としてOK、事業に関係のないものを経費として落とすのはNGです。

問題になるのは、どこからどこまでが事業に関係のある費用かという点になります。

たとえば個人事業主がカフェで仕事をしていてコーヒーを飲んだとします。

仕事を続けているとやがてお腹がすいてきたので、昼食としてサンドイッチも食べてしまいました。

この場合、個人事業主の飲み食いしたコーヒーやサンドイッチの支払いは経費として落とせるのでしょうか。

個人事業主が仕事中に飲食したものだと考えれば事業と関係のある費用だとも判断できそうです。

仕事をしていなくても飲食しないと生きていけないと考えれば仕事とは関係なさそうでもあります。

どこまで仕事と関係のある支出、つまり経費だと判断するのかが難しいのです。

個人事業主は仕事中にカフェで飲食したコーヒーやサンドイッチを経費で落とせるのかは、次以降の見出しで順番に説明します。

個人事業主が経費で落とせるのはどこまで?【まとめなので必見です!】

ここからは個人事業主が経費で落とせるものについて説明します。

経費①租税公課

Aさんは自宅近くに事務所を構えて個人事業主として仕事をしています。

ある日、Aさんが仕事をしていると事務所の固定資産税の振込用紙が届きました。

Aさんは会社員から個人事業主に転身して3年目ですが、最初の年は会社員との違いに驚いたものです。

会社では所得税などは源泉徴収でしたが、個人事業主になると自分でいろいろな税金手続きをしなくてはいけません。

固定資産税の他にも自動車税や事業税、印紙税など、税金の支払いはいろいろあります。

Aさんは固定資産税の振込用紙を確認すると「出張のときに一緒に払ってこよう」と思いました。

固定資産税、個人事業税、印紙税、自動車税などは経費にできる
・所得税、住民税は経費にできない

経費②消耗品費・修繕費

Aさんが事務所で仕事をしていると、機器が動かなくなってしまいました。

Aさんはメーカーに「故障したようだ」と電話します。

メーカーからの回答は「修理費用がかかる」というものでした。

また、修理までに月単位の時間がかかるとも言われます。それでは仕事になりません。

Aさんは仕事に必要な機械を1台増やすことにしました。機器の購入金額は3万円です。

・器具や機器、機械、建物などの修繕費用は経費になる
・パソコンやタブレットなどの機器の購入費用も経費計上できる
(減価償却の可能性もあり)

経費③通信費・荷造運賃・地代家賃

Aさんが機器を購入して事務所に戻ると、仕事に使っている携帯電話に取引先から連絡がありました。

取引先はAさんの事業に関する資料を送ってくれと言います。

Aさんは承諾し、急ぎ段ボールやガムテープなどで梱包し、郵便局から発送しました。

資料を送った後に「そういえば、事務所の家賃を振り込まなければ」と気づき、郵便局のATMから家賃の振込をします。

・事業に使う電話やネットのプロバイダ代、郵送時の切手代などは経費になる
・段ボールやガムテープなど荷造に使うものへの支出は経費になる
・事務所や駐車場の家賃、使用料などは経費になる

経費④保険料

事務所に戻ったAさんには出張の予定があります。出張先は大阪です。

準備も終えて予定の時刻になったAさんは事務所に施錠して駅に向かいました。

途中で払込用紙が届いていた固定資産税の支払いをします。

支払いをしているときに保険料の振込用紙がバッグの中にあったことを思い出しました。

Aさんはまとめて保険料も払うことにしました。

・事業用の自動車保険や事務所の損害保険、地震保険などの保険料は経費になる

経費⑤旅費交通費・接待交際費

個人事業主のAさんが大阪の取引先との会議のため東京から大阪まで新幹線を使いました。

駅に降りてからは、打ち合わせの会場までタクシーを使いました。

打ち合わせは喫茶店です。

打ち合わせの相手は個人事業主の先輩であり、取引先の社長でもあるBさんです。

打ち合わせ時のコーヒー代はAさんが支払いました。

打ち合わせが終わった後は、大阪の他取引先との親睦を深めるため飲食店でビジネスの話をしました。

飲食店の費用はAさん持ちです。

・バスや電車などの公共交通機関の費用やタクシー代、出張時の宿代などは経費になる
・取引先との打ち合わせのお茶代なども経費にできる
・取引先や顧客の接待費用も経費にできる

経費⑥給料賃金・法定福利費・外注工賃

接待の後、Aさんは再びBさんと事業の話をしました。

基本的に取引についての話ですが、AさんとBさんは親しいため、個人事業主のノウハウなどについても話題が及びます。

BさんはAさんより先に個人事業主になり、事業規模もAさんより大きくなっています。従業員もいて、毎月給与を支払っているそうです。また、従業員の健康診断などの費用も持ち、事業用サイトや名刺なども外注しているという話でした。

Aさんが「個人事業主の健康診断は経費にできるのか」と尋ねると、Bさんは「できないよ」と答えます。従業員を雇ったときのために覚えておこうと思いました。

従業員への給料やボーナスは経費にできる(ただし配偶者や親族の場合は一定の条件あり)
・従業員の健康診断や雇用保険、厚生年金、国民年金などは経費になる
・個人事業主の健康診断費用は経費にならない
・サイトや名刺、封筒などのデザインや外注の作成費用は経費になる

経費⑦支払手数料・水道光熱費・開業費用など

Aさんが事務所に帰ってくると、事業に関する荷物が代引きで届いていました。

Aさんが代引き手数料を負担した分です。

荷物を受け取ったAさんは事務所の電気を点け、水道から水を汲みガス台でお湯を沸かします。

「今日も1日疲れたな」と思いながら沸かしたお湯でお茶を淹れました。

お茶を飲みながら帳簿をチェックすると、開業費用の赤字がまだ残っています。これからも経営を頑張ろうとAさんは気持ちを新たにしました。

・水道料金、ガス代、電気料金は経費になる
・代引きや振込、仲介などの手数料も経費に計上できる
・償却が済んでいない開業費などは経費にできる

個人事業主が経費で落とせる意外なもの まとめ

個人事業主の経費として認められる支出の中には意外なものもあります。

個人事業主がセミナーや勉強会に参加したときの費用も経費

個人事業主がセミナーや勉強会などに参加した場合は費用を経費として計上可能です。

勉強会などで使った図書代やセミナーなどの受講料、旅費、宿泊費、飲食費などの費用が経費として認められます。

ただし、セミナーや勉強会に出ればすべてが経費として認められるわけではありません。

経費は事業と関係のある支出が原則です。

事業と関係のない趣味や自己啓発のセミナー、勉強会の費用については経費に計上できませんので注意してください。

たとえば個人事業主として法律系の仕事をしていたとします。

法律改正についての勉強会の費用は経費になりますが、趣味の釣りセミナーの費用は経費にならないということです。

個人事業主の書籍購入代は広く必要経費として認められる

事業に関する書籍であれば書籍も経費でOKです。

しかも、書籍については経費として広く認められています。

自分の事業に関する書籍代はもちろん必要経費。

その他に個人事業主は自分で税金の手続きをする必要があるため、税金の本(確定申告の手引きなど)を買ったときも経費として認められる可能性があります。

語学の本や経済や投資、新聞なども、海外に出張する場合や事業の取引先との会話、商談などに使うのであれば事業と関係ないとは言い切れないはずです。

事業と関係があれば経費として認められますから、事業そのものの専門書や機関紙でなくても、書籍代が経費計上できる可能性があります。

また、娯楽小説などは事業と無関係と思うかもしれません。

しかし、取引先との資料に使う場合や、取引先事業主がその小説が大好きで商談の糸口にするためであれば、やはり事業との関係がゼロとは言い切れません。

関係ありとして経費計上できる可能性があります。

書籍の購入代は比較的広い範囲で認められる傾向にあります。

ただ、漫画を買った分を経費として認めることは難しいのが現実です。

ビジネスを漫画で解説などの本もありますが、完全に趣味や娯楽で買う本については経費で落とすことは難しいので注意してください。

ご祝儀や香典なども個人事業主の経費として認めら れる

個人事業主が取引先などに渡した香典やご祝儀なども経費として認められます。

たとえば事業でお世話になっているB株式会社の社長が亡くなりました。

このときに御家族に渡した香典は個人事業主の経費になります。

なお、葬儀に出席したかどうかは関係ありません。

個人で社長宅に足を運び、ご家族にお悔やみを伝える際に渡した香典も経費になります。

個人事業主の経費に計上できないもの は?

個人事業主の事業と関係がありそうなものの中にも経費として認められないものがあります。

住民税や所得税などの税金は費用として計上で きない

個人事業主として収入があるからこそ税金があるわけです。税金と個人事業主の収入は密接な関係にありますが、住民税や所得税などの税金を経費にすることはできません。

ただし、個人事業税は全額必要経費になります。

固定資産税も事業用の一部分については必要経費として認められます。

事業に関係ありそうでも罰金や過料などは経費計上 NG

たとえばAさんが取引先との会議に遅れそうで車を飛ばしていたとします。

法定速度を大幅にオーバーしたため、途中で警察に捕まり違反切符を切られてしまいました。

取引先に向かう途中だったのだから事業関係の支出ではないかと思うかもしれません。

しかし、この交通違反の罰金は経費に計上できないルールです。

罰金の他には過料も経費計上NGになります。

寺社や仏閣への祈祷料/玉串料などは必要経費の対象外

会社の場合は寺社仏閣に祈祷料や玉串料などの名目で支払いをしても経費として認められます。

しかし、個人事業主の場合は祈祷料や玉串料などは経費としては認められないと解釈されています。

個人事業主が落とせる経費の注意点|家事按分や領収書など

個人事業主が経費として各種の支出を計上する場合は注意したいポイントがあります。

ポイントに気をつけておかないと税務署からのペナルティや、本来は経費計上できるものが認められない可能性もあるのです。

個人事業主が税金の手続きや処理をするうえで常日頃から注意したいポイントは4つあります。

自宅で事業を営んでいる場合は家賃などの家事按分に注意が必要

個人事業主は自宅で仕事をしているケースが少なくありません。

自宅で仕事をしていると「私生活で使う家」の部分と「事業で使う事務所」が併存していることになります。

事務所の費用は経費に計上できます。

ですが、事務所は家、つまり生活の場(事業に関係のない場所)でもありますから、全額を経費として落とせるわけではありません。

費用を「生活の費用(経費で落とせない分)」と「事業の費用(経費で落とせる分)」に分けることを家事按分といいます。

通信費や家賃、電気代などは支払いの内容や使った時間などから事業分と生活分に按分する必要があります。

家事按分のうえで事業の費用分だけ経費に計上するわけです。

経営上の〇〇代が認められるためにも領収書は必ず保管する

経費で重要なのが「領収書やレシートなどを保管しておくこと」です。

仮に経費を計上しても、その経費を確かに支出したのだ、事業に関係あるのだということを証明できなければ税務署は納得してくれません。

「実際は払っていないのに経費を水増ししているのではないか」「事業と関係のない支出も経費として計上しているのではないか」と疑われます。

領収書やレシートなどがあれば、確かに支出したことを証明可能です。

念のために領収書やレシートなどに何のための支出か一筆メモしておくといいでしょう。

「支出はあったかもしれないが本当に事業関係か」と疑われたときにメモや領収書に買ったものの内容などをメモしておくと、しっかり説明できます。

領収書やレシートなどは必ず保管しておきましょう。

問題になるのは冠婚葬祭の支出です。

取引先の社長の葬儀に足を運んで香典を渡したときに「領収書をください」とは言えません。

香典やご祝儀は証明しにくいのです。

その場合、葬儀などの日時を書いたハガキなどがあれば保管しておくといいでしょう。

また、自分でも「〇月〇日に葬儀で香典〇万円」など、記録をつけておくことをおすすめします。

無理な節税には税務署のペナルティにつながることも ある

すでに解説したように、経費はあくまで個人事業主の事業に関係のある支払いに限られます。

事業と関係なければ経費として認められることはありません。

そのため、とにかく節税しよう、経費を増やそうと関係のないものまで経費にしないよう注意してください。

あまりに無理矢理経費にしてしまうと、税務署も不自然さを感じます。

計上してはいけない支出まで経費にすると、それはもう節税ではなく脱税です。

何でも経費にしてしまうなど無理な節税は税務署のペナルティにつながる可能性があります。

税務署に目をつけられるリスクもあります。避けた方が無難です。

個人事業主が経費や節税方法で迷ったら税理士に相談する

個人事業主は人によって事業内容が異なるため、費用も違ってきます。

今回の記事で紹介していないものについても経費として認められるものもあれば、「経費だろうか」と迷いやすいものもあります。

個人事業主が経費として計上できるか迷ったら自分で判断せず税理士に相談してください。税務署からのお咎めを避けるためにも重要なことです。

また、節税で困ったときも税理士に一度相談することをおすすめします。税理士に相談することで個人事業主や経営状況に合った節税方法を知ることが可能です。経費の計上もれなども防げます。

分らなかったら専門家を使う。時間を使って調べるより、相談料の方が安く抑えられることが多いです。

重要なことです。

まとめ

経費で落とせるものの中でも主なものを解説しました。

この他にも経費で落とせるものがあります。

分からないことがあれば「計上してしまおう」ではなく、専門家に確認を取ることが重要です。

そのためにも、身近にひとりすぐ相談できる税理士を作ってはいかがでしょう。

税理士がいれば事業内容に合わせた的確なアドバイスを受けられるというメリットもあります。

経費の計上をもれなく、正しく計上するために、身近な専門家を活用しましょう。

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