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副業を始めたら開業届が必要?

 
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税理士のうばとしこです。
税理士としてはまだまだ若手です。
お笑い大好き、やんちゃでマイウェイをゆく息子と男勝りで世話好きな娘がいます。子煩悩な夫と4人家族です。 学生時代から大好きだった街、吉祥寺に事務所を構えています。
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副業を始める人が増えています。働き方改革、増税、コロナ、ネットビジネスの可能性拡大・・・など、いろんな要因があるから当然のことともいえると思います。

税金のことを無視すれば、有名なさおだけ屋さんの本(いまならゼロ円!)のように、自分自身の連結ビジネスとして捉え、相乗効果を狙うのもアリです。

ですが、確定申告となってくると、話は少し変わります。

つまり、税金を計算するために、整理・分類が必要なんですよね。まるっと全部一緒に計算できたら良いんですけど・・・。

今日は副業があるの方の確定申告をふまえて、まず開業届を出すのかどうかという話をしていこうと思います。

開業届とは

そもそも「だれが」開業届をだすのでしょう。

これは、所得税法に定められているんです。こんな風に書かれています。

「不動産所得、事業所得または山林所得を生ずべき事業を開始」した時・・・と。

あれ?と思った方もいらっしゃるかもしれませね。雑所得は含まれていないんです。

そもそも、雑所得は開業届出す必要ないことになってるんですよね。

・・・こりゃぁ大変です。

副業を始めたら、まずは、事業所得なのか、雑所得なのか、それとも他の所得なのか、真剣に考えなければならないわけです。

確定申告の時では間に合いません。事業を始めたら、すぐに決めて提出するのが原則です。

事業所得とは

ここでは便宜上、不動産所得と山林所得は除いて考えます。

そもそも、事業所得ってなんなの?雑所得と何が違うの?というのは、めちゃくちゃ大切なことであるにもかかわらず、明確な答えがありません。

[speech_bubble type=”drop” subtype=”R1″ icon=”icon_business_man03.png” name=”オカムラ社長”]そういうの、勘弁してくださいよ・・・[/speech_bubble] [speech_bubble type=”drop” subtype=”L1″ icon=”S_IMG_0500.jpg” name=”うばとしこ”]社長は役員報酬だけだから関係ないですよ[/speech_bubble]

ただ、ヒントだけは所得税法にあります。

それが・・・

次に列記した事業から生じた所得をいう。

①農業

②林業及び狩猟業

③漁業及び水産養殖業

④鉱業(土石採取業を含む。)

⑤建設業

⑥製造業

⑦卸売業及び小売業(飲食店業及び料理店業を含む。)

⑧金融業及び保険業

⑨不動産業

⑩運輸通信業(倉庫業を含む。)

⑪医療保健業、著述業その他のサービス業、

⑫上記のほか、対価を得て継続的に行う事業

ヒントになりますか?笑


実際、よくわかりませんよね。

あてはまらない場合は、⑫になるの?

「上記の他、対価を得て継続的に行う事業」ってことにしとけばいいの?

っていう悩みのループに陥るだけなんですよ。。。。

事業所得だと判断するポイントとは?

ヒント少ない!と思いますよね。

実は、ヒントが少ないのには良い面も悪い面もあります。

  • 良い面は、あらゆる人がちゃんと判断すれば事業所得にできる可能性があること。
  • 悪い面は、見解の相違が生じやすくなること。

ちなみに、お友達のA子ちゃんは、私と同じような状況で、副業で事業所得で確定申告してるらしいから、私も事業所得で申告する という判断をしたとしても、何の根拠にもならないのです。

[speech_bubble type=”drop” subtype=”R1″ icon=”icon_business_man03.png” name=”オカムラ社長”]それ、うちの社員のB子さんの話、盗み聞きしたんすか?[/speech_bubble]

では、どんな考え方をしたら良いのでしょうか・・・?

ここでは、事業所得なのかどうかで争われた裁判の判例に基づいて、ポイントを列挙してみます。

①営利性・有償性の有無

②継続性・反復製の有無

③自己の危険と計算における企画遂行性の有無

④精神的あるいは肉体的労力の程度

⑤人的・物的設備の有無

⑥職業・社会的地位

⑦生活状況

⑧業務から相当程度の期間、継続して安定した収益が得られる可能性が存するか(社会通念上)

言葉は難しいですけれど、こういったポイントをひとつひとつ検証していって、総合的に判断することが多いんです。

ちょっとわかりにくいので、動画でも解説したのでご覧ください!

事業所得が認められなかった裁判の判例

副業で営んでいたネイルサロンの事業所得が認められず、雑所得とされた裁判がありました。

そのケースでは、給与として安定した収入があった方が、副業で出たネイルサロンの赤字を事業所得の赤字として申告して、税金を安くしたわけです。

給与所得って基本的には赤字になることはあり得ないので、ある程度の金額だと税金を払っていることになります。

給与所得だけの場合、源泉徴収されて、年末調整されて、取られた金額もあんまり認識しなくなってしまったりしますけれど、実際はそれなりに納税しているわけです。

[speech_bubble type=”drop” subtype=”L1″ icon=”S_IMG_0500.jpg” name=”うばとしこ”]ここからは補足ですが・・・[/speech_bubble]

事業って赤字がでることもある。

それは事業所得でも雑所得でもそうです。

でも大きな違いが一つ。

  • 事業所得ででた赤字は、給与所得から引いてあげることができる
  • 雑所得で出た赤字は、ほったらかし。給与所得の税金に影響なし

だから、できれば事業所得にしたい、と思うのは自然のことですよね。

[speech_bubble type=”drop” subtype=”R1″ icon=”icon_business_man03.png” name=”オカムラ社長”]ネイルサロンの何が悪かったんですか?[/speech_bubble]

結局、事業所得ではなくて雑所得だという判決が出てしまった、その判断ポイントは下記です。

    • 収益に対する、必要経費が多額すぎた ⇒ 営利性乏しい
    • 損失の額が年々増加しているのにもかかわらず、広告宣伝を行うわけでも、利益をあげるための改善事業計画の作成などを行った形跡がない ⇒ 企画遂行性希薄
    • 本業の勤務先に週5日従事している。(ネイルサロンの業務に一週間に37時間以上の労力を費やしたと主張したらしいが、証拠となる記録がない。) ⇒ 精神的及び肉体的労力は、限定的
    • 自宅リビングの一部に作業用の机・椅子などを設置、配偶者がネイリストとして従事 ⇒ 一定の人的設備・物的設備は認められる
    • 本業からの給与収入が所得の大部分を占め、生活の資とされている。
    • 本件業務で相当程度の期間安定した収益を得られる可能性も乏しい

事業所得なのかの判断は慎重に

特に副業の場合、税額が大幅に変わる可能性があるので、影響が大きいです。

どんな実態で副業を行っているのか、ということをじっくり考えてみる時間をつくってみてください。

その際のヒントになれば嬉しいです。

では、また!

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